こはく皮フ科で大切なお子様の症状に応じて様々な所からアプローチしています。
乳児湿疹 小児アトピー性皮膚炎 おむつかぶれ じんましん とびひ イボ 水いぼ 水ぼうそう 手足口病
★小児皮膚科
■乳児湿疹
乳児湿疹は、赤ちゃんに現れる皮膚のトラブルの総称です。早ければ、生後1〜2週間ほどで見られることがあります。
赤いポツポツのように見えることが多いです。ポツポツが広がって、皮膚全体が赤くなる場合もあります。ときには、黄色いフケのように見えたり、小さな水疱ができたり場合もあります。
原因は様々です。
1つは、お母さんの胎盤から渡された女性ホルモンが、まだ赤ちゃんの体に残っている影響で、皮脂の分泌が増えて、毛穴が詰まり、ニキビのような湿疹ができることがあります。また、皮膚の常在菌であるマラセチアが増えると、この湿疹が悪くなりやすいことが知られています。こういった湿疹を、乳児脂漏性皮膚炎といいます。
もう1つは、皮脂の分泌が減り、皮膚が乾燥し、バリア機能が低下することで起こる湿疹です。生後6ヶ月を過ぎた頃から、お母さんからの女性ホルモンが減ってきます。そのため、皮脂の分泌が減ってきます。この分泌が減りすぎると、いわゆる「乾燥肌」になり、皮膚のトラブルを起こしやすくなります。これが原因で起こる湿疹を、皮脂欠乏性湿疹といいます。しっかり保湿してあげましょう。
さらに、汗の影響で起こる湿疹もあります。汗が汗腺に詰まってしまうと、そこが炎症を起こしてしまうことがあります。赤く小さなポツポツで、かゆみがあることが多いです。特に夏場は、汗をかいたら、早めに対処するようにしましょう。
■小児アトピー性皮膚炎
お子様に湿疹が続いていて、かゆがっている・・・これって、もしかしてアトピー性皮膚炎では?と、心配になることがあるかもしれません。
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が良くなったり、悪くなったりを、繰り返します。湿疹は、左右対称に出ることが特徴です。1歳未満の乳児の場合は、2ヶ月以上、それよりも大きいお子様の場合は、6ヶ月以上、湿疹を繰り返している場合は、アトピー性皮膚炎の可能性があります。
年齢によって、湿疹の出やすいところに違いがあります。
2歳未満の乳児の場合、頬、口のまわり、頭に出ることが多いです。悪化すると、全身に広がってきます。
2歳から12歳ごろにかけては、首、肘の内側、膝の裏、手首、足首に湿疹が出るようになります。
アトピー性皮膚炎かな?と思ったら、悩まずに、お早めのご受診をお勧めします。
最後に、子どもの頃から、重症のアトピー性皮膚炎だった院長から、親御さんへのお願いです。
「掻くから悪化する、掻かなければ悪くならない」との思いから、お子様に「掻いてはいけない、我慢しなさい」と言われる親御さんがいらっしゃいます。しかし、アトピー性皮膚炎で起こる、強いかゆみを我慢するのは非常に難しいことです。頑張って、ちょっとの間、掻くのを我慢しても、次から次へと別の場所がかゆくなってきます。四六時中、痒みが襲ってきます。ずっと、かゆみを我慢し続けることは、とても大変なことです。大人でも難しいと思います。ましてや小さい子なら、いかがでしょうか。
院長は、小さい頃、掻くたびに親に怒られていました。そのたびに、必死に掻くのを我慢しましたが、ついに我慢の限界がきて、かゆいところに手がいってしまいます。自分は我慢のできない、なんて悪い子なのだろう、という思いでいっぱいでした。しかし、ずっと鉄棒にぶら下がり続ければ、やがて筋力の限界が来て、手を離してしまうのと同じで、ずっと掻くのを我慢し続けることはできません。どうか、お子様が掻いているのを見ても、怒らないであげてください。掻いてしまうのは、我慢できないほど、かゆいからです。かゆみを取るのが、皮膚科医の仕事です。どうすれば、強いかゆみを取ってあげられるのか、私たちと一緒に考えていきましょう。
■おむつかぶれ(接触皮膚炎)
おむつかぶれは、おむつに覆われた部分が赤くなったり、湿疹ができたりします。おしり(特に肛門のまわり)が赤くなることが多いです。
原因は、おむつの中で、尿や便が皮膚に付くことで起こります。便の影響はかなり大きいです。
対処法は、まずは便が皮膚に触れている時間をできるだけ短くすることです。便をしているのに気づいたら、早めにおむつ交換をしましょう。ただ、おむつを交換しても、おしりに便が残っていると、おむつかぶれがなかなか良くならないことがあります。乾いたティッシュ等で拭くだけでは、便がおしりに残ることが多いです。おむつ交換のときに、ぬるま湯でおしりを流すと良いでしょう。流した後は、優しくポンポンと押さえる感じで、おしりを拭いてあげましょう。ぬるま湯で毎回流すのが難しい場合は、アルコールを含まない優しいウエットティッシュに、さらに水を含ませて、おしりを優しく、上からポンポンと拭いてあげると良いです。
拭いた後に、おしりを保護する塗り薬を塗って、便が出ても、直接お尻に触れにくいようにします。炎症が強い場合は、ステロイド外用薬も併用することがあります。
詳しいやり方は、こはく皮フ科クリニックにお越しいただければ説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
■とびひ(伝染性膿痂疹)
皮膚がじゅくじゅくしていて、かゆい・・・これが、色々なところに広がってきている・・・これは、とびひかもしれません。湿疹、虫刺され、あせも、などで掻きこわした傷や、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が下がっているところに、細菌が感染することで起こります。まるで、「飛び火」するように、周りに広がっていくことから「とびひ」と呼ばれています。
とびひには、水ぶくれができるタイプ(水疱性膿痂疹)と、カサブタができるタイプ(痂皮性膿痂疹)があります。お子様に多いタイプは、水ぶくれができるタイプのとびひです。水ぶくれが破れると、皮膚がただれて、じゅくじゅくします。かゆみがあり、ここを掻いた手で、皮膚の他の場所を触ると、症状がどんどん広がっていきます。
治療は、原因となる細菌を殺すための塗り薬と飲み薬を使うことが多いです。かゆみが強い場合は、かゆみ止めの飲み薬も一緒に使っていきます。しっかり薬を使うことで、とびひの部位は、やがて乾燥し、カサブタになり、治っていきます。
■イボ(尋常性疣贅)
イボにはいくつか種類がありますが、お子様にできやすいイボは、尋常性疣贅といって、ウイルスで起こるイボです。ヒトパピローマウイルスが原因です。
皮膚にできた小さな傷から、ウイルスが入り込むと、そこでウイルスが増殖します。ウイルスに感染した細胞は、増殖が早くなるため、その部分が厚くなってイボになります。
足裏、足指、手のひら、手の指などにできやすいです。多くの人が裸足になるような場所(プール、ジム、公衆浴場の脱衣所など)で、うつることが多いです。
治療には、液体窒素を使います。液体窒素は、ドライアイスよりも冷たい液体(-196℃)です。イボに液体窒素を触れさせることで、ウイルスに感染した細胞を凍らせて、壊死させます。人工的に、凍傷を起こさせている状態なので、この治療は痛みを伴います。ごく小さいイボの場合は、1回の治療で治ることもありますが、通常は1回では取りきれないため、何回か繰り返す必要があります。週に1回〜2週間に1回のペースで、通院を続けることになります。免疫力を上げるため、ヨクイニンという漢方薬を併用することもあります。小さいイボの方が、少ない回数で済む場合が多いので、お早めに治療を開始することをお勧めします。
■水いぼ(伝染性軟属腫)
水いぼは、小さい光沢のある丸い形をしています。ボックスウイルスの仲間の伝染性軟属腫ウイルスが原因です。このウイルスが、皮膚の小さな傷や毛穴から入り込み、皮膚の細胞に感染します。傷1歳〜6歳ごろのお子様によく見られます。
水いぼは、放置しても、半年〜2,3年で治癒します。ただ、かゆみを伴って掻いてしまう場合は、広がるリスクがありますので、場合によっては、取った方が良いこともあります。また、数年も水イボがあるまま放置するのは見た目的な問題も・・・という場合もあるでしょう。水イボを取った方が良いか、取らずに自然に治るのを待った方が良いのかは、皮膚科医によっても意見が分かれるところです。一人一人、状況が違う場合、ベストな方法も違ってくるものです。どのように治療していくのかは、その都度相談しながら決めていきましょう。
なお、プールの水では、水いぼはうつらないので、プールに入っても大丈夫です。ただし、タオル、浮き輪、ビート板などを共有すると、うつることがありますので、共有しないようにしましょう。
■水ぼうそう(水痘)
水ぼうそうは、最初に、頭痛、発熱、だるさなどの症状が出ます。1日ほど遅れて、小さな赤い点のような発疹が出てきます。その後、それが盛り上がり、水ぶくれになり、最後はカサブタになります。水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こります。空気感染し、感染力が非常に強いです。
最近は、予防接種を打っているお子様が多いため、昔に比べて水ぼうそうになる子は、大幅に減りました。ただ、予防接種を打っていても、軽く症状が出る場合があります。その場合、水ぼうそうに特徴的な発疹が出ないことがあるため、一見すると、水ぼうそうには見えないことがあります。
見た目だけではわかりにくい場合は、水ぶくれの中の液体を取って、その中にウイルスの成分が入っているかどうか、検査します。
治療は、抗ウイルス作用のある飲み薬と塗り薬を併用します。感染力が強いため、感染力がなくなるまで学校や仕事は休む必要があります。すべての発疹がカサブタになれば、感染力がなくなるので、学校や仕事に行けるようになります。目安は発症から1週間ほどです。
水ぼうそうが治っても、原因のウイルスは神経の中に潜り込んでいます。疲れや睡眠不足などで、免疫力が下がると、ウイルスが再活性化して症状が出ることがあります。これが帯状疱疹です。こちらは大人が発症することが多い病気です。詳しくは、帯状疱疹のページをご覧ください。
■手足口病
手足口病は、その名前の通り、手のひら、足の裏、口の中に水疱ができます。初夏から秋に見られることが多いです。複数のウイルスが原因ウイルスとして知られており、コクサッキーA6、A16、A10、エンテロウイルス71などがあります。
最近は手のひら、足の裏、口の中だけではなく、腕や脛、太ももやお尻にも水疱ができる場合があります。お子様だけではなく、大人の方の手足口病も増えています。
37-38℃の発熱がある場合もありますが、全く発熱しない場合もあります。
数日から1週間で治る場合が多いです。まれに、吐き気、嘔吐、下痢を起こす場合や、重症の場合は髄膜炎や心筋炎を起こす場合も、ごくまれにですが、あります。
残念ながら特効薬はなく、対症療法のみとなります。かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬を使うこともあります。
手足口病は、出席停止の対象には指定されてないため、症状がそれほど強くない場合は、学校を休む必要はありません。ただし、発熱があったり、症状が強かったりする場合は、無理せず、安静にしてください。